
不動産のさんため(三為)とは?仕組みとメリット・デメリットを解説
不動産取引における「さんため(三為)」とは、「第三者のためにする契約」の略称であり、中間省略登記を用いて登録免許税などのコストを削減する取引手法のことです。買主A(元売主)、中間省略者B(不動産会社)、買主C(最終買主)の3者間で契約を結び、所有権をAからCへ直接移転させます。
この取引は、不動産の転売ビジネスや買取再販において広く活用されています。本記事では、さんための仕組みやメリット・デメリット、具体的な失敗例を交えてわかりやすく解説します。
不動産のさんため(三為)とは?仕組みを解説
「さんため」とは、不動産売買において中間省略登記を行うための合法的な契約手法です。正式には「第三者のためにする契約」と呼ばれます。
通常、不動産が転売されると、所有権は「元売主(A)→ 中間業者(B)→ 最終買主(C)」の順番で移転します。この場合、登記も順番に行う必要があり、中間業者Bにも登録免許税や不動産取得税が課税されます。
しかし、さんため(第三者のためにする契約)を活用すると、所有権は「元売主(A)から最終買主(C)」へ直接移転します。中間業者Bは登記簿に名前が載らないため、登記費用や税金を大幅に節約できる仕組みです。
新中間省略登記との違い
かつて行われていた従来の中間省略登記は、法改正により一時期禁止されました。しかし、平成19年の不動産登記法改正に伴い、法務省から代替手段として認められたのが「第三者のためにする契約(さんため)」と「買主の地位の譲渡」の2つの手法です。
現在「新中間省略登記」と呼ばれる取引の多くは、この「第三者のためにする契約(さんため)」を指しています。
さんため取引の基本的な流れ
さんため取引は、以下の手順で進められます。
1. A(元売主)とB(中間業者)の間で「第三者のためにする売買契約」を締結する
この際、Bは「所有権の移転先を第三者(C)に指定する権利」を留保します。
2. B(中間業者)とC(最終買主)の間で「他人物売買契約」を締結する
BはAから取得する予定の物件を、Cに売却する契約を結びます。
3. BがCを「所有権の移転先」として指定する
BがAに対して、所有権の移転先をCに指定する旨を通知します。
4. 代金の決済と所有権の直接移転
CからB、BからAへと代金が支払われ、所有権はAからCへ直接移転します。
---
さんため(三為)取引のメリット
さんため取引には、中間業者と最終買主の双方に異なるメリットが存在します。
中間業者(不動産会社)のメリット
中間業者にとって最大のメリットは、コストの削減と資金効率の向上です。
- 登録免許税・不動産取得税の免除
自社に所有権を移転しないため、登記費用(登録免許税)や不動産取得税が発生しません。これにより、1取引あたり数十万〜数百万円のコストを削減できます。
- 購入資金(決済資金)の不要化
同日決済(バック・トゥ・バック)を行う場合、最終買主Cから支払われる代金を元売主Aへの支払いに充当できるため、自社で多額の仕入れ資金を用意する必要がありません。
最終買主(一般顧客・投資家)のメリット
最終買主にとっても、以下のようなメリットがあります。
- 不動産会社が売主となることによる瑕疵担保責任(契約不適合責任)の適用
中間業者である不動産会社が売主となるため、宅地建物取引業法に基づき、最低2年間の契約不適合責任を負う必要があります。個人間売買よりも購入後のリスクを抑えられます。
---
会社の名前を入れるだけで、あなたの会社の記事を1本、無料でお作りします。検索で見つけてもらう記事を、毎日2本代行します。
無料で記事を作る →さんため(三為)取引のデメリットと注意点
メリットが多いように見えるさんため取引ですが、いくつかの注意点やデメリットも存在します。
中間省略による「中抜き」の価格上乗せ
中間業者Bは、元売主Aから安く買い取り、最終買主Cに高く売ることで利益(差額)を得ます。この利益を「三為業者マージン」と呼びます。
Cから見ると、相場よりも高い価格で購入させられているリスクがあります。さんため物件を検討する際は、周辺の類似物件の相場を徹底的に調査することが重要です。
金融機関からの融資が厳しくなるリスク
一部の金融機関では、さんため取引(新中間省略登記)を用いた物件への融資に対して慎重な姿勢をとっています。取引の不透明さや、価格が上乗せされている懸念があるためです。融資を利用して購入する場合は、事前に金融機関へ取引スキームを説明し、内諾を得ておく必要があります。
融資や不動産取引のルールについては、日本政策金融公庫などの公的機関や提携金融機関の最新情報を確認してください。
---
さんため(三為)取引の具体的な失敗例
さんため取引で実際に起きた失敗例を紹介します。取引を行う際の反面教師として参考にしてください。
失敗例:相場より30%高い価格で購入してしまった投資家
投資初心者のDさんは、不動産会社から「利回り8%の優良ワンルームマンション」としてさんため物件を紹介されました。不動産会社が売主であるため安心感もあり、融資を受けて購入しました。
しかし、購入後に周辺相場を調べたところ、実際の市場価値は購入価格より30%も低いことが判明しました。中間業者が利益を過剰に乗せていたためです。家賃収入に対してローンの返済額が上回り、毎月赤字を垂れ流す結果となってしまいました。
対策: 購入前にポータルサイトや土地総合情報システム等を利用し、周辺の成約事例や家賃相場を必ず自己調査しましょう。
---
さんため取引のコスト比較(目安)
通常取引とさんため取引における、中間業者Bにかかるコストの違いは以下の通りです。想定される費用は一般的な取引における目安です。
| 項目 | 通常の転売取引 | さんため(三為)取引 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 課税される(評価額の2.0%等) | 免除(0円) |
| 不動産取得税 | 課税される(評価額の3.0%〜4.0%) | 免除(0円) |
| 司法書士手数料 | 2回分発生(A→B、B→C) | 1回分のみ(A→Cへの直接移転) |
| 中間業者の資金負担 | 仕入れ資金の満額が必要 | 同日決済であれば自己資金を抑えられる |
このように、中間業者にとっては劇的なコスト削減効果があるため、買取再販ビジネスにおいて広く普及しています。
---
まとめ:さんため(三為)を理解して安全な取引を
さんため(第三者のためにする契約)は、違法ではなく、法務省にも認められた合法的な不動産取引手法です。中間業者のコスト削減や、最終買主が宅建業者から購入できるといったメリットがあります。
一方で、中間マージンが上乗せされて価格が高くなりやすい点や、融資のハードルが上がる点などのデメリットもあります。購入を検討する際は、提示された価格が適正であるかを慎重に判断しましょう。不動産取引に関する法的な判断やトラブル防止については、国土交通省のガイドラインや専門の司法書士へ相談することをおすすめします。
よくある質問
- Q. さんため(三為)取引は違法ですか?
- A. 違法ではありません。かつての中間省略登記は不動産登記法の改正により制限されましたが、現在は法務省の認めた「第三者のためにする契約」というスキームを用いることで、合法的に新中間省略登記を行うことができます。
- Q. さんため物件の見分け方はありますか?
- A. 販売図面(マイソク)の取引態様に「売主」と記載されているにもかかわらず、登記簿上の所有者が別の個人や法人になっている場合は、さんため取引(第三者のためにする契約)である可能性が非常に高いです。
- Q. さんため取引で最終買主が注意すべきことは何ですか?
- A. 中間業者のマージンが上乗せされているため、購入価格が相場より割高になっていないかを必ず確認してください。また、融資を利用する場合は、金融機関が新中間省略登記での融資に対応しているかを事前に確認する必要があります。



